甲状腺疾患

甲状腺疾患について

甲状腺(こうじょうせん)の病気は、お子さま、若い女性〜ご高齢の方まで、幅広い世代にみられる身近なものです。
たとえば、バセドウ病、橋本病などが有名です。
また、わずかな甲状腺のホルモン値の変化が流産や、不整脈を悪化させる原因になることもあります。
その他、カラダのだるさ、足のむくみ、動悸など、日常生活で感じる症状の背景に、実は甲状腺の疾患が隠れている、ということも珍しくありません。

甲状腺とは

首の前側、のどぼとけの少し下にあるチョウチョ型の臓器です。
柔らかく、薄いため、通常は見たり触ったりしても分かりません。

甲状腺の疾患で受診するきっかけは?

1.健康診断で指摘される

自覚症状がなくても、健康診断で甲状腺腫大(首の付け根 [前側] の腫れ)を指摘されたり、血液検査超音波(エコー)検査で引っかかったりすることがあります。
血液検査の項目としては、TSH、fT3、fT4が一般的です。
TSH値はもっとも数値が動きやすく、TSH値が正常範囲であれば、他も正常である可能性が高いため、TSH値のみ計測されている場合もあります。
超音波検査でもっとも多くみられる所見は、のう胞です。
丸っこい形をした、中に液体がたまった袋のようなものです。
例年同じ所見がつく、という方も多いです。
良性であれば放っておいて問題ありませんが、甲状腺ホルモン値に影響が出ている場合は治療が必要になることもあります。

2.甲状腺のホルモン異常による症状

普段の日常生活で感じるような身近な症状が多いため、見逃されやすく、まずは疑うことが大切です。

以下のようなさまざまな症状が出ます。

  • カラダがだるく重い
  • 朝起きると、手足や顔がむくむ
  • 心臓がドキドキする
  • イライラしやすく、汗をよくかく
  • 暑がりになって、水をよく飲む
  • カラダが冷えて寒がりになる
  • 食べているのに体重が減る
  • 手がふるえる
  • 便秘がつらい
  • 月経が不順

3.見た目から甲状腺の病気を心配する

甲状腺腫大(しゅだい)

何らかの異常で甲状腺が腫れてくると、外から見て、首のつけ根が膨らみ、触って分かるようになります。

眼球突出

バセドウ病に特徴的な目の症状です。
顔は毎日見るものですから、こちらをきっかけに受診されることがあります。

当院で行う検査

  • 血液検査
  • 甲状腺超音波検査(エコー、カラードプラ)
  • 腹部超音波検査(おなかの臓器の関連が疑われるとき)
    ※細い針を刺して細胞をとる検査が必要なときは、専門施設をご紹介いたします。

甲状腺の病気について

ポイントは、「甲状腺ホルモンの乱れ」と「形の変化」の2つです。

甲状腺ホルモンの乱れ

血液検査で評価します。
甲状腺ホルモンが作られすぎていると、カラダの代謝が高まり、元気になる・汗をかく・体重が減るといった体調の変化が出ます。
一方で、ホルモンが少ないと、代謝が下がり、だるさ・むくみといった症状につながります。

形の変化

主に超音波検査で評価します。
甲状腺腫(こうじょうせんしゅ)といい、甲状腺の一部がはれてしこりができるもの(結節性)と、全体がはれるもの(びまん性)があります。
詳しい診断には、細い針を刺して細胞をとる検査・CT検査・アイソトープ検査などが必要な場合もあります。

結節性甲状腺腫

  • 甲状腺のう胞
  • 腺腫様甲状腺腫
  • 悪性腫瘍(がん)

びまん性甲状腺腫

  • 単純性びまん性甲状腺腫
  • バセドウ病
  • 橋本病
  • 亜急性甲状腺炎

心臓と甲状腺のつながり

甲状腺が心臓に影響する

心房細動(しんぼうさいどう)などの不整脈があり、治療をしてもなかなか良くならない。動悸がつらく、安静にしていても脈が早い。
そのようなケースでは、甲状腺ホルモンが分泌されすぎている可能性があります。
その場合、心臓の治療だけ行っても、甲状腺の治療も行わなければなかなか良くなりません。
そのため不整脈が疑われたときは、ほぼ必ずといって良いほど、甲状腺ホルモンの血液検査も同時に行われます。

心臓の薬が甲状腺に影響する

心臓の不整脈で、アミオダロンという薬を飲まれている方がいらっしゃいます

甲状腺ホルモンは甲状腺で作られますが、その原料はヨウ素(ヨード)です。
アミオダロンには、このヨウ素が含まれています。
ヨウ素は、昆布・ひじきなどの食べ物に多く含まれ、日本で一般的な食事をしていれば摂取不足になることはありません。
一方で、ヨウ素をとりすぎていると、甲状腺がはれてきて、甲状腺機能が低下する方がいます。
アミオダロンを服用されている方は、甲状腺ホルモンの数値を定期的にチェックする必要があります。

甲状腺の薬について

甲状腺疾患の薬は、大きく2つのタイプに分かれます。

1.甲状腺ホルモン

甲状腺ホルモンがうまく分泌されていないときに、それを補充するための薬です。

2.抗甲状腺薬

甲状腺ホルモンの分泌が多すぎるときに、甲状腺に作用してホルモンの産生を抑える薬です。