膀胱炎

公開日:2021年2月15日

膀胱炎

このような症状にお困りですか?

「排尿時に痛い」
「血尿がでた」
「トイレの回数が多い」
「残尿感がある」

などの症状でお悩みの方は、膀胱炎の可能性があります。
頻繁に繰り返すケースもあるため、また膀胱炎になってしまったと悩む人も多いでしょう。
仕事や学校などでトイレに行くことを我慢してしまうことが多いことや、ストレスなどの体調不良が原因で膀胱炎は発症します。
当院では、大森・大森町周辺にお住いの膀胱炎に悩む方に多く通院頂いていますので、ご自身に当てはまる場合はご相談ください。

膀胱炎の原因

膀胱炎は、尿を出す尿道からバイ菌(細菌)が逆流して膀胱に入ってしまい、そこで炎症を起こす疾患です。
膀胱炎の原因菌のほとんどは、大腸菌です。
通常は、細菌が膀胱に侵入しても排尿することで外へ押し出されてしまいますが、尿を我慢する習慣があると、膀胱内に尿が停滞する時間が長くなり膀胱炎を起こしやすくなります。
また、男性より女性の方が解剖学的に尿道が短く、膀胱炎を起こしやすいことが知られています。
膀胱炎は、そのかたの基礎疾患の有無によって、単純性と複雑性に分類されます。
単純性の多くは性的活動期の女性です。
複雑性の原因となる基礎疾患は、以下のように多岐にわたります。

膀胱炎 単純性(基礎疾患がない)
複雑性(基礎疾患がある) 糖尿病、ステロイド・抗癌剤投与中 など(免疫低下)
前立腺肥大症、前立腺癌、尿道狭窄、膀胱結石 など
尿路の悪性腫瘍や神経因性膀胱 など(高齢者の場合)
尿路の先天異常(小児の場合)

膀胱炎の検査・診断

  1. 問診後に膀胱炎が疑われた場合、尿検査を行います。迅速検査ですので、その場で結果がわかります。
  2. 尿中の潜血・白血球などをチェックし、症状と合わせて診断します。

+α 治療を行っても症状が改善しない場合には、原因菌を特定する培養検査を行います。

膀胱炎の治療

多くは大腸菌が関与しているため、それに対する抗菌薬(抗生剤)の飲み薬を使います。
治療期間は通常7日間ですが、基礎疾患がなく、妊娠していない閉経前の女性は3日間の短期治療で良いとされています。
セフェム系の抗生剤は、妊娠中でも短期間であれば慎重に使用できますので、妊婦さんは問診の際に必ずお伝えください。
薬を内服すると、通常は1日〜数日以内に症状はなくなります。ただし、閉経後女性における膀胱炎は、若年女性と比べて治りづらく、再発率が上がります。
しっかりと治療することが大切ですので、症状がよくなっても途中で薬を中止せず、処方された分を飲み切るようにしましょう。
時折、余った抗生剤をご自宅にストックしておき、自己判断で抗生剤を使用されている方がいらっしゃいますが、耐性菌(その抗生剤が効かないバイ菌)がご自身の体内で作られてしまうため、オススメしません。
治療効果が見られない場合は、抗菌薬の種類を変えて治療を行います。
細菌によっては抗菌薬への耐性がある場合もあれば、大腸菌とは異なる細菌が原因になっている場合もあります。
医師に指示された薬の内服が終わった後は、再び検査を受けて完治していることを確認します。
膀胱炎の再発を予防するには、確実に治療をすることが大切です。

膀胱炎の感染経路

原因菌の多くを占める大腸菌は、大腸に存在する菌であり、肛門から尿道へと移動して膀胱に尿道〜体内へ侵入します。
どんなにデリケート部位をキレイにしていても、膀胱炎を発症することはあります。誰でもなる可能性がある疾患です。
排便時に尿道口に細菌が入り込んだり、生理用品を不衛生に使用していることが原因で細菌繁殖してしまうこともあります。
また閉経後の女性の場合は、膣内で悪い細菌が繁殖しないよう守っている常在菌が減少してしまうため、膀胱炎を繰り返し発症するケースが増えます。

膀胱炎の症状を詳しく

  • 頻尿(尿が近い)
  • 排尿時痛(尿を出すときに痛い)
  • 残尿感(排尿後もまだ尿が残っている感じがする)
  • 尿混濁(尿がにごる)
  • 膀胱部不快感

といった症状がある場合、膀胱炎を疑います。
膣炎症状(帯下・掻痒感・性交時痛など)はありません。
発熱もありません。
発熱を伴う場合は、腎盂腎炎といって、細菌が膀胱からさらに体内に逆流して、腎臓とう臓器まで達している可能性があります。
その場合は、抗生剤の点滴・入院が必要になったり、膀胱炎よりも治療期間が長くなる場合がありますので、必ず医師にご相談ください。

市販薬を使用する際の注意事項

膀胱炎の症状にお悩みのかたは非常に多いため、薬局などで膀胱炎用の市販薬が販売されています。ご自身の判断で、市販薬のみで対応し悪化する場合もありますので、長引く場合は注意が必要です(市販薬を否定する目的ではありません)。
クスリを飲んで治ったから終わり、というわけではなく、膀胱炎の原因は何か?を考えることが大切です。
多くの場合は急性(単純性)膀胱炎と呼ばれる細菌が原因となるタイプです。
一方で、ウイルス感染が原因であったり、糖尿病や前立腺肥大など基礎疾患が背景に隠れている場合もあります。
膀胱炎の背景を考えるには専門的な知識が必要になりますので、特に症状を繰り返す場合は、病院を受診するようにしましょう。

膀胱炎を予防しよう

尿の通り道=尿路(にょうろ)と呼ばれます。尿路は、腎臓(おしっこを作る臓器)〜尿管〜膀胱〜尿道からなります。常に上から下へと川のように尿が流れることで、細菌が上がってこないような仕組みになっています。
流れの悪い川がよどむように、おしっこの流れが悪くなると、細菌が侵入・繁殖しやすくなります。

そのためにできる日頃の習慣として、

  • おしっこを我慢しない
  • 排尿回数を増やす
  • 水分をしっかりとる

ようにすれば、細菌は押し流されるようになります。
また、デリケートゾーンの清潔を保つことも大事です。
下着や生理用品をまめに交換し、入浴の際は身体を清潔にするように心がけましょう。

参考文献

  • Jack D Sobel and Donald Kaye. Urinary Tract Infections. Mandell, Douglas, and Bennett’s, Principles and Practice of Infectious Diseases 8th edition. 
  • Kalpana Gupta, et al. Clin Infect Dis 2011; 52: e103-e120 
  • Thomas M, et al. N Engl J Med 2012;366:1028-37
  • JAID/JSC 感染症治療ガイドライン 2015

作成:大森町駅前内科小児科クリニック医師