水いぼ

水いぼのポイント

  • 放っておいても自然に治ります
  • プールは入れます
  • もし取るなら広がる前にしよう
  • アトピーの子どもにうつると重い症状に!

取るべきか? 取らざるべきか?

水いぼは、医学的には伝染性軟属腫といいます。
登校・登園について、法的な規制はありません。
生活の制限はなく、プールも入れます(感染症法、学校保健安全法)。
ただし、タオル、浮輪、ビート板などを共用することは避けます。
お子さまによくあるウイルス感染症(5〜10%くらいの子どもが感染)で、皮膚に小さないぼのようなものが複数できます。
ややピンク色がかった1~5mm程度の、ツヤっとしたドーム状で、手のひら・足の裏を除きどこにでも見られます。
大きくなると中心がおへそのようにくぼみます。

Olsen JR, et al. Family practice 2013; 31:130-6.

アトピー性皮膚炎・湿疹のお子さまは注意
アトピーや湿疹があると、皮膚のバリアが弱っているため、水いぼをもらいやすいです。
また、湿疹の部分と一緒に水いぼを引っ掻いて、カラダに無数に広がってしまいます。
さらにアトピーの治療でステロイドを塗ると水いぼが増えてしまうため、ステロイドが使えない!などといった問題も起こります。

Olsen JR, et al. Br J Gen Pract 2016; 66(642): e53–8.

取る治療もあります。

「見つけたら早めに、広がる前に取る」
という専門家の意見も多くあり、最も確実で早く解決します。
痛みをやわらげるテープを事前に貼ってから、ピンセットでつまんで取る、という外科的な方法です。
しかし、痛みがあり、感染が二次的に起こるリスクもあります。
数が少ないうちに取る方が楽ですし、治療の成功率も上がります。

放っておいても自然に無くなります。

ただし、平均して1年くらいかかります。
早ければ6ヶ月、長いと2〜3年、といわれます。
その間、いくつかの水いぼは、消えたり、また新しくできたり、をくり返します。
皮膚から皮膚へ、水いぼに触れることで他人にうつったり、引っかくことで自分のカラダの他の部分に広がったりします。
直接触らなくても、タオルなどを介してうつることもありますので、家族内ではとくに、タオルは分けて使いましょう。
水いぼは皮膚の表面だけに起こるもので、カラダの中に入ることはありません。
アトピー性皮膚炎や免疫不全のお子さまにうつると、予想以上に、重い症状になってしまうことがあります。

Schaffer JV, et al. JAMA Dermatol 2016; 152:1072.

水いぼ Q&A

結局、どう対処すればいいですか?

取るべきか取らざるべきか。
いまだに議論されており、正解はありません。
取るなら取る、取らないなら取らないという方針を最初のうちに決めることが大切です。
あとで水いぼが無数に広がってきてから、やっぱり取ろうかな、となるとお子さまも大変です。(とはいえ、私たちも人間ですから迷うことはあります) だからこそ、保護者の方と医療従事者でよく話し合い、一緒に方針を考えて行きましょう。
そのためにも、正しい知識をご提供いたします。
取るメリットは、見た目でいじめられる、プールに入れてもらえない、他の子にうつしてしまい感染拡大、といった問題を解決できることです。
(当院 [小児科] では、取る処置は行なっていないため、水いぼの診断がついた時点で保護者の方とご相談し、希望されたら皮膚科をご紹介いたします。)


プールは入れますか?

水からはうつりませんので、入れます。
ただし、タオル、浮輪、ビート板などモノからうつることがあり、それらを共用することはできるだけ避けて下さい。
プールの後はシャワーで肌をきれいに洗いましょう。(学校保健安全法)
日本小児皮膚科学会
しかし、学校や園の方針で、「病院で取ってきて下さい」と言われる方も時折いらっしゃいます。


取らなくてもよい治療はありませんか?

ヨクイニンという漢方薬があります。
これは、普通のイボに保険適応がありますが、水いぼには適応がありません。
同じ成分が入っているハトムギ茶を飲む民間療法もありますが、あまり有効なデータはありません。
有効な保存的な治療がないのが現状です。