赤ちゃんの食物アレルギー|病院に行く目安・検査・診断について解説
赤ちゃんの食物アレルギー
赤ちゃんがはじめての食材を食べた時、かゆみや蕁麻疹が出てしまったら、食物アレルギーの症状かも?と不安になってしまう方も多いでしょう。
軽症の食物アレルギーは約1時間で自然と改善しますが、そうでない場合には早急の受診が必要な場合があります。
今回は、赤ちゃんに食物アレルギーのような症状が現れた時の病院に行く目安や、実際の検査などについて解説します。
病院に行く目安は?
夜間や休日に食物アレルギーが疑われる症状が現れた時、すぐに受診することができない場合もあるでしょう。受診を迷った時には下記の症状を確認し、病院に行く目安としてください。
受診を急がなくても良い症状
- からだの一部に蕁麻疹が出ている
- 口の周りが赤くなっている
- 喉のかゆみがある
- 一度だけ嘔吐したものの、その後は元気そうである
- 症状は出たものの、赤ちゃんや子ども自身が特に困った様子ではない
これらの症状であれば、軽症と考えられます。早急な受診は必要ありませんが、心配なことがあれば受診しても良いでしょう。
ただし、もちろん絶対ということはありません。普段から一番よく赤ちゃんをみられている保護者様が、いつもと違う、とご不安に思われたら気軽にご相談ください。
早めに病院に行く目安、その必要がある症状は?
- 乾いた咳が出ている
- 顔色が悪い、ぐったりしている
- 苦しそうにしている
- 泣いていたり、不機嫌である
これらの症状が現れている場合には、呼吸困難や、血流の不全による臓器障害(ショック)を引き起こす可能性があり、命にかかわる危険性があります。早急な受診が必要ですので、迷わず行動しましょう。
受診するときに意識しておきたいポイント
食物アレルギーが疑われる症状が現れて受診した場合、赤ちゃんの食事などの様々な情報について聞かれることがあります。
下記のポイントを日頃から意識しておき、実際に受診して医師に聞かれた際に、整理して伝えられるようにしましょう。
- 食べたもの
食べたものにどのような食材が含まれるかという情報も重要です。食品のパッケージやその写真などを持参すると良いでしょう。 - 食べた量
- 食べた時間
- 蕁麻疹などの症状を確認した際は、その写真
時間経過によって症状が落ち着いてくる場合もあります。受診前に症状を確認した場合には写真を撮って記録しておくと良いでしょう。 - これまでに食べて問題のなかった食べ物
詳しく聞かれることがあります。特に、小麦や卵、乳については必ず伝えましょう。
もし、病院へ付き添う保護者の方が赤ちゃんの日頃の情報や食事について把握できていないという場合でも、まずはアレルギー症状を抑えること、重症化させないことが重要です。早めの受診を心がけ、後日、把握していなかった情報について医師に伝えるようにしましょう。
食物アレルギーの診断
赤ちゃんに食物アレルギーがあるのか、何に対して食物アレルギー反応を起こすのか、事前に把握しておきたい方も多いでしょう。その場合に血液検査が勧められることがあります。しかし、血液検査だけでは食物アレルギーの診断を確定することはできません。
血液検査
血液検査では感作が陽性であるかが調べられます。(当院では6歳未満のお子様にアレルギー検査は実施しておりません。大人とちがってお子様の体質・データは年単位で変化し、この検査自体もお子様の負荷になること、検査結果より症状と合わせた臨床判断が大切であることから、精査が必要と判断した場合は専門医がいる総合病院・大学病院をご紹介いたします)
感作とは、体内に入ったアレルゲン(アレルギーの原因となる物質)に反応して免疫機能が働き、異物として排除するために「IgE抗体」という物質が作られる状態を指します。
しかし、感作が陽性であってもアレルギー症状が現れないこともあり、その場合は食べ続けても問題がありません。そのため、血液検査だけでは食物アレルギーであると診断を確定させることができないのです。
実際にアレルギー症状が現れた経験
問診では、特定の食べ物を食べた際に起きたアレルギー症状(広範囲の蕁麻疹や重篤な症状)の有無やその現れ方などを詳細に聞かれます。
受診した方には「原因として疑われているものを食べたときに症状が現れたが、その食べ物を食べていない時にも同様の症状が現れていた」という場合も多く、原因が不明瞭であるため、問診だけでは食物アレルギーによる症状であると判断することができません。
実際のアレルギー症状の経験がある上で、血液検査によって感作が陽性という結果が出ることで、食物アレルギーであると判断することが可能になります。
食物アレルギーの発症リスクを減らすために
明らかなアレルギー症状が現れていない状態で血液検査を受けた場合、陽性であっても医師からは少量ずつ食べさせるように指示が出ることがあります。これは、完全にその食べ物を除去してしまうと食物アレルギーの発症リスクが高まってしまうためです。
食物アレルギーの症状が見られないのであれば、医師の指示に従って発症リスクを減らし、赤ちゃんが多様な食材を食べられるようにしてあげましょう。
ただし、少しでも食物アレルギーが疑われる症状が現れたら、無理に食べさせることはせず、医師の判断を仰ぎましょう。
食物経口負荷試験
食物アレルギーか否か、血液検査と問診の結果を合わせても判断できないこともあります。
その場合に行われるのが食物経口負荷試験です。(当院では実施しておりません。専門医が常駐し入院管理ふくめたバックアップ機能がある総合病院・大学病院にご紹介いたします)
食物経口負荷試験は専門の医療機関で行われ、アレルギーが疑われている食べ物を実際に少しずつ食べて、症状の有無を確認します。最も確実な診断方法と言われており、安全に食べることのできる量を調べることもできます。
また、食物経口負荷試験を重ねていくことによって、アレルギーの対象の食べ物を安全に食べられる量を少しずつ増やすことが可能な場合もあります。
食物アレルギーの自己申告
食物アレルギーのなかでも鶏卵アレルギーである方は多いです。しかしながら、実際に卵アレルギーである方の数は、卵アレルギーであると自己申告する方の数に対して少ないことがあります。
乳幼児を抱える親に対する調査では、子どもが卵アレルギーであると申告した親が12%いたものの、食物経口負荷試験を実施した結果、実際に卵アレルギーだった子どもは3%であったと報告されています。
(『食物アレルギー診療ガイドライン2021』著・監:海老澤元宏、伊藤浩明、藤澤隆夫/協和企画刊)
このようなことが起こる原因として、
- 卵を食べさせた際に口の周りに赤みがあったなどの経験から保護者が卵アレルギーと判断してしまった場合
- 血液検査の結果から医師が卵アレルギーと診断してしまった場合
などが考えられます。
血液検査だけで診断してしまうと、本来、赤ちゃんが食べられたはずのものまで除去してしまう可能性があるのです。
当院でもアレルギーの相談が可能です
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当院では6歳未満のお子様にアレルギー検査は実施しておりません。大人とちがってお子様の体質・データは年単位で変化し、この検査自体もお子様の負荷になること、検査結果より症状と合わせた臨床判断が大切であることから、精査が必要と判断した場合は専門医がいる総合病院・大学病院をご紹介いたします
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