気管支炎は、咳や痰が長引き、日常生活に影響を与えやすい呼吸器の病気です。おとなと子どもでは症状が異なることもありますが、どちらにしても早めの受診が望ましいといえます。気管支炎の症状、急性・慢性気管支炎の違い、原因、治療法、予防方法、出勤・登校の目安について、大森町駅前内科小児科クリニックが解説します。当クリニックでは気管支炎の診療も行っておりますので、気になる症状がある方はお気軽にご相談ください。
気管支炎とは気管支に炎症が起こる疾患
気管支炎とは、気管やそこから枝分かれした気道である気管支が、何らかの原因で炎症を起こす疾患です。主な症状は咳や痰で、子どもからおとなまでかかる可能性があります。
気管支炎は、症状の続く期間や経過によって「急性気管支炎」と「慢性気管支炎」に分類されます。急性気管支炎は比較的短期間で改善することが多い一方、慢性気管支炎は咳や痰が長く続き、日常生活に影響を及ぼすこともあります。
それぞれ原因や治療法が異なるため、正しく理解することが大切です。
急性気管支炎とは一定期間咳が続く疾患
ただの風邪だと思っていたのに、咳や痰だけが長引く場合、急性気管支炎が関係していることがあります。急性気管支炎は、風邪の後に続いて起こることが多く、咳や痰などの症状が数週間続く点が特徴です。
急性気管支炎について詳しく説明します。
急性気管支炎の症状
急性気管支炎では、以下の症状が見られます。
主な症状
- 咳
- 痰(黄色や緑色。粘り気があることも)
- 喘鳴(ぜんめい:ゼーゼー、ヒューヒューという音)
喘鳴は、特に子どもに多く見られる症状です。
初期に見られやすい症状
- 発熱
- 食欲不振
- 体のだるさ
- 胸の不快感
急性気管支炎は5日以上続く咳が特徴で、回復するのに1〜3週間ほどかかります。
急性気管支炎の原因
急性気管支炎の原因の多くは、風邪と同じウイルスです。インフルエンザウイルスやライノウイルス、RSウイルスなどに感染することで発症します。
一方で、肺炎マイコプラズマなどの細菌が原因となる場合もあります。
急性気管支炎の診断
急性気管支炎は、咳や痰といった症状をもとに診断します。
ただし、発熱などの症状が長引く場合には、肺炎など他の疾患が合併していないかを調べるために胸部レントゲン検査や胸部CT検査を行うケースもあります。
急性気管支炎の治療
急性気管支炎の治療は、症状を和らげる対症療法が中心です。
発熱や咳による胸の痛みがある場合は、解熱鎮痛薬を使用することがあります。また、ゼーゼー、ヒューヒューといった呼吸音が見られる場合には、気管支を広げる吸入薬が処方されることもあります。
なお、急性気管支炎の原因の多くはウイルスであるため、基本的には抗菌薬は使用しません。ただし、細菌感染が疑われると医師が判断した場合には、抗菌薬による治療を行うこともあります。
急性気管支炎は、こうした治療の他に過ごし方も重要です。症状が出ている間は安静に過ごし、水分や栄養を十分に補給しましょう。
慢性気管支炎とは咳や痰が長く続く疾患
慢性気管支炎は、咳や痰などの症状が長い間続く疾患です。症状が長期化すると、日常生活に影響を及ぼすこともあります。ここでは、慢性気管支炎について詳しく説明します。
慢性気管支炎の症状
慢性気管支炎の主な症状は、以下のとおりです。
- 咳(特に朝方や寒い時期に強くなる傾向がある)
- 痰(黄色や緑色で粘り気がある場合もある)
- 息切れ・呼吸困難
- 喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒューする音)
- 繰り返す呼吸器感染(感染症にかかりやすくなる傾向がある)
これらの症状が長く続く場合は、早めに受診することが必要です。
慢性気管支炎の原因
慢性気管支炎の最も多い原因は喫煙です。
たばこの煙による長期的な刺激が気管支に炎症を起こし、咳や痰が長期化すると考えられています。実際に、慢性気管支炎の患者さんの多くは喫煙歴があります。
また、喫煙以外にも、自動車の排気ガスやPM2.5などの大気汚染、感染症、アレルギー体質などが関与することがあります。
慢性気管支炎の診断
一般的に以下の状態のときに慢性気管支炎が疑われます。
- 咳と痰が1年のうち3か月以上続く
- その状態が2年以上繰り返される
- 他の病気によるものではない
上記に加え、喫煙歴などの生活背景や診察結果、胸部レントゲン検査・胸部CT検査といった画像検査、呼吸機能検査の結果も踏まえ、総合的に評価して診断します。
慢性気管支炎の治療
慢性気管支炎は、症状の程度や病気の進行状況に応じた治療が行われます。基本的には、悪化を防ぎながら、症状をコントロールすることが中心となります。
まず、喫煙の習慣がある方にとって、禁煙は何よりも優先されるべき治療の柱です。タバコによる刺激をなくすことで、炎症の悪化を最小限に抑えることができます。また、慢性気管支炎は、症状に応じて以下のような介入が行われます。
- 薬物療法:気管支拡張薬、去痰薬、ステロイド吸入薬などが使用されます。細菌感染が疑われる場合には、抗菌薬が使用されることもあります。
- 肺リハビリテーション:運動療法や呼吸訓練などを行います。
- 酸素療法:重症例で検討されます。
症状や経過には個人差があるため、自己判断せず、医師と相談しながら治療を継続することが大切です。
気管支炎のおとなと子どもの症状の違い
咳が止まらなくて苦しかったり、呼吸の音が変わったりして不安になることもあるでしょう。気管支炎はおとなと子どものどちらにも見られますが、年齢により症状の出方が異なります。
乳幼児の場合は、気道が狭いうえに免疫機能も未熟なため、わずかな炎症でも呼吸が苦しくなりやすいのが特徴です。「ゼーゼー」「ヒューヒュー」といった呼吸音が聞こえることも多く、注意深く見守る必要があります。
一方でおとなの場合は、子どもほど激しい呼吸困難に陥ることは少ないものの、咳がしつこく長引きやすい傾向にあります。仕事や家事などの日常生活の中で、体力を消耗してしまうことも少なくありません。
子どもとおとなで共通して大切なのは、無理をしないことです。呼吸が苦しそう、元気がない、あるいは咳が長引くといった場合には、早めに医療機関を受診しましょう。
気管支炎の感染経路と予防方法
急性気管支炎の多くは感染なので、感染経路や予防方法を知っておくことが重要です。一方、慢性気管支炎では生活習慣など別の要因も関係します。ここでは、気管支炎の感染経路と予防のポイントを説明します。
気管支炎の感染経路
急性気管支炎の原因が感染症である場合の主な感染経路は次のとおりです。
| 感染経路 | 内容 |
|---|---|
| 飛沫感染 | 感染者の咳やくしゃみによって飛び散ったウイルスや細菌を含む飛沫を吸い込むことで感染します。 |
| 接触感染 | ウイルスや細菌が付着した手や、ドアノブ・手すりなどに触れた後、口や鼻に触れることで感染します。 |
急性気管支炎は冬場の発症が多く、体調不良や免疫機能が低下しているときは感染しやすくなるため注意が必要です。
気管支炎の予防方法や生活上の注意点
気管支炎の予防や悪化防止には、タイプに応じた対策が重要です。急性気管支炎では感染対策、慢性気管支炎では生活習慣の見直しが中心となります。
| 予防方法・生活上の注意点 | |
|---|---|
| 急性気管支炎 | ・手洗い・うがい ・マスクの着用 ・室内の加湿 ・十分な睡眠と栄養 ・インフルエンザなどのワクチン接種 |
| 慢性気管支炎 | ・禁煙の徹底 ・空気汚染時のマスク着用 ・室内の加湿 ・規則正しい生活 ・インフルエンザなどのワクチン接種 |
これらの対策を日常的に行うことで、発症や症状の悪化を防ぐ効果が期待できます。
気管支炎の市販薬の適応と受診の目安
気管支炎の症状が軽い場合には、市販薬によって咳や痰の症状を一時的に和らげることができます。ただし、以下のような症状が見られる場合は注意が必要です。
- 咳が3週間以上続く
- 痰に血が混じる
- 息苦しさがある
- ゼーゼー、ヒューヒューといった呼吸音を伴う
これらの症状があれば、医療機関で診察を受けましょう。特に、高齢者や基礎疾患のある方は悪化する恐れもあるため、早めの受診が必要です。
気管支炎の出勤・登校の目安
気管支炎は「何日休む」といった明確な決まりはありません。しかし、発熱や激しい咳がある間は無理をせず安静にすることが大切です。
出勤・登校の目安としては、解熱後、仕事や授業に支障が出ない程度まで咳が落ち着いてからがよいでしょう。数日程度で回復するケースが多いですが、体力を使う仕事では休養が長く必要な場合もあります。
【FAQ】気管支炎に関するよくある質問
ここでは、気管支炎に関するよくある質問を紹介します。
- Q.気管支炎の初期症状は?
- Q.気管支炎はほっといても大丈夫?
代表的な質問について解説します。
急性気管支炎の場合は、風邪のような初期症状が見られます。
慢性気管支炎は特に初期症状がなく、いつの間にか咳や痰が長期間続いていることが多いです。
急性気管支炎の多くがウイルス性で、放置しても自然に軽快することがあります。ただし、症状が強い場合は、日常生活に支障が出たり、肺炎に進行したりするケースもあります。特に乳幼児や高齢者、基礎疾患のある方は注意が必要です。
一方、慢性気管支炎を放置すると、慢性閉塞性肺疾患(COPD)へ進行し、呼吸機能の低下が進むことがあります。禁煙や治療によって進行を抑えられるため、早めの受診が重要です。