下腹部痛

下腹部痛

下腹部がずしりと痛む際に考えられる病気はいくつもあります。
大腸や小腸などの消化器系・子宮や卵巣などの婦人科系・膀胱や前立腺などの泌尿器科系
など痛みの原因はさまざまです。

痛みの種類について

消化器系の痛みについて

大腸に菌が付着する(感染)と痛みが発症する感染性胃腸炎(食あたり)、急性虫垂炎や大腸の中で炎症を起こす(憩室炎など)、大腸の動きが過敏になることで発生する過敏性腸症候群などが例に挙げられます。
その他にも腸の動きが悪くなったり、腸の中が狭くなることで痛みが発生することもあるのです。

婦人科系の痛みについて

生理周期になると痛みが発症する子宮内膜症や卵巣に出血が起きることで下腹部の痛みが発症します。

泌尿器科系の痛みについて

膀胱に菌が付着すると膀胱炎となり、下腹部にだるい痛みが発症します。
その他にも前立腺に菌がつくことで前立腺炎となり、痛みだけでなく高熱が発症する場合もあるのです。

下腹部痛の主な病状について

急性虫垂炎

別名では盲腸とも呼ばれます。
基本的には腸に穴が空くことで激しい痛みが起こりますが、ゆるやかに経過していく急性虫垂炎もあるので注意が必要です。
主な症状としては、右下腹部への痛みやお腹に響くような痛み(歩行や笑ったり、くしゃみするなどで起こる)が走ります。この響くような痛みは菌がお腹に散らばる「腹膜炎」の可能性がありますので早急な受診をおすすめします。

憩室炎

加齢と共に大腸に袋(憩室)ができることがあります。この袋に菌が付着し炎症を起こすのが憩室炎です。右下腹部や響くような痛みがあるため急性虫垂炎と症状は似ています。
腹部の触診や血液検査、大腸カメラ、腹部エコー、CTなど様々な検診を組み合わせて総合的に診断を行い判断します。

感染性腸炎

主な要因は火があまり通っていない状態の生肉などを食べることにより発症します。
時間差で影響がでることが多く、数日後に腹痛・下痢や発熱が起こります。
それだけでなく、特に内蔵系(ホルモンなど)はO-157やO-111と呼ばれるような腸管出血性大腸菌やカンピロバクターによる食中毒に注意が必要です。
気分が悪くなった際には過去数日の食事内容や外国旅行先での食事や水が無いかが大切になるため渡航歴なども重要な診断内容になります。

過敏性腸症候群

過敏性腸症候群には下痢型、便秘型、混合型の3種類があります。
腸がうまく動かなかったり、逆に活発になりすぎるため痛みが発症します。
この症状が何度も繰り返されてしまうのです。
診断時にお腹の調子が悪くなった経過内容、腹痛の度合いなどから判別します。
腸に痛みの原因となる他の重篤な病気が潜んでいないかという確認も重要なため、可能であれば大腸カメラで大腸のチェックを行うことを推奨します。

大腸がん

腫瘍(がん)が肥大化して腸の中が狭くなることで痛みが発症します。また、腸管が狭くなることで便秘となることもあります。太かった便が細くなって気づくこともあるため、日ごろから便の観察をすることが大切です。
発見には大腸カメラによる検査が必要となります。
腹部CTやPET検査を併用して癌の状態を診断し、治療へと移っていきます。

子宮内膜症

子宮の内側のみにある子宮内膜の細胞がが子宮以外の場所で増殖と剥離を繰り返してしまう時に発症します。
婦人科での内診やエコーなどの検査により総合的に判断します。
主な治療は生理周期を止めることが中心となり、ホルモンの増減を起こして擬似的に妊娠状態や閉経後状態をつくって生理を止めることが治療となります。

膀胱炎

体外より菌が入ることで発症します。
尿意が頻繁に起こる、排尿の際に痛みが伴うなどが特徴的な症状として挙げられます。
また、下腹部に重だるい痛みを伴うこともあります。
尿検査により判断することが多く、抗生物質を服用することで治療を行います。

他の要因について

先程取り上げた内蔵だけでなく、神経や皮膚が原因となる痛みも多く、幼少期に発症した水ぼうそうが大人になってから影響してくる帯状疱疹もその一つです。
下腹部の痛みには重篤な病気が隠れている場合もあるため、「きっと便秘だろう」「ただの食あたりや食べ過ぎだろう」と安易に考えずに痛みがひどい時、長引くときは受診をしていただき、総合的に判断してもらうことをおすすめします。