湿疹(皮膚炎)

湿疹は、皮膚の浅い部分に炎症が起こって赤みやかゆみ、小さなブツブツが現れる皮膚の病気です。症状の現れ方や原因は人によって異なり、繰り返すこともあります。湿疹には、アトピー性皮膚炎・脂漏性皮膚炎・乳児湿疹などさまざまな種類があり、種類に合わせたケアが重要となってきます。湿疹の主な原因や症状、種類、治療、予防ケア、乳児湿疹の対応、じんましん・発疹との違いについて、大森町駅前内科小児科クリニックが解説します。当クリニックでは湿疹の診療も行っておりますので、気になる症状がある方はお気軽にご相談ください。

湿疹とは皮膚の浅い部分に起きる炎症の総称

湿疹とは皮膚の浅い部分に起きる炎症性の病気の総称です。皮膚炎とも呼ばれています。湿疹の多くは外からの刺激で起きる接触皮膚炎ですが、原因がはっきりしないことも多いです。

湿疹は以下のように大別できます。

湿疹特徴
急性湿疹発症したばかりの湿疹
慢性湿疹長期化して皮膚がザラザラ、ガサガサした状態の湿疹

湿疹は手足や顔、胴体など全身のどこにでも発症します。

湿疹の原因となる内的要因と外的要因

湿疹の原因は主に以下の2つに大別できます。

内的要因健康状態、アレルギー、アトピー体質、皮膚の乾燥、発汗、皮脂の分泌など
外的要因物理的刺激、花粉、ハウスダスト、細菌、カビ、洗剤、薬剤など

湿疹は、これらの内的要因や外的要因が複雑に絡み合って発症します。そのため、湿疹の原因は特定できない場合が多いです。

湿疹の症状の種類と経過

湿疹の症状を経過別で細かく分類すると、以下のような種類があります。

湿疹の種類症状の特徴
1.紅斑(こうはん)皮膚の表面に生じる赤み
2.丘疹(きゅうしん)小さなブツブツ
3.水疱(すいほう)小さな水ぶくれ
4.膿疱(のうほう)膿(細菌などの塊)が含まれる水ぶくれ
5.びらん皮膚の表面がジュクジュクした状態
6.痂皮(かひ)かさぶたのこと
7.落屑(らくせつ)皮膚表面の皮が剥がれ落ちること

一般的に湿疹は上記のような経過をたどりますが、紅斑から水疱、紅斑から落屑などのように変化の仕方は人それぞれです。

慢性湿疹になると、皮膚が分厚くなったり、色素沈着が起きたりするリスクもあります。
長引くまたは繰り返す湿疹は、医療機関で適切に治療することを推奨します。

湿疹の種類とその症状

湿疹には以下のようなさまざまな種類があります。

  • アトピー性皮膚炎
  • 皮脂欠乏性湿疹(ひしけつぼうせいしっしん)
  • 脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)
  • 乳児湿疹
  • 汗疹(あせも)
  • 汗疱(かんぽう)
  • 接触皮膚炎
  • 手湿疹

それぞれの湿疹について詳しく解説します。

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎とは、かゆみを伴う湿疹が主な症状となる皮膚の病気です。悪くなったり良くなったりを繰り返す特徴があります。遺伝的にアトピー体質である方や皮膚のバリア機能(皮膚を保護する角質層)が弱い方に発症することが多いです。

症状の特徴は以下の通りです。

  • 左右対称にかゆみを伴う湿疹の症状が現れる
  • 悪くなったり良くなったりを繰り返す
  • 皮膚が乾燥しがちである

アトピー性皮膚炎の多くは乳児期に発症します。湿疹の症状は顔に現れやすく、悪化するとそこから全身に広がる傾向があります。

皮脂欠乏性湿疹

皮脂欠乏性湿疹とは、乾皮症(かんぴしょう:皮膚が乾燥している状態)により生じたかゆみに誘発され、皮膚を掻きむしり炎症を起こした状態のことです。乾皮症は、加齢や入浴時の体の洗いすぎなどにより、皮脂や汗の分泌が減少して生じます。

乾皮症は、皮膚の表面にザラザラと粉っぽさが現れます。悪化すると亀裂が生じてかゆみが現れます。太ももの内側や脇腹、すね、二の腕などに現れる傾向です。皮脂欠乏性湿疹を予防するには、かゆみが現れる前に保湿剤をこまめに塗って乾皮症を改善することが重要です。

脂漏性皮膚炎

脂漏性皮膚炎とは、髪の生え際や鼻の脇、耳のうしろなど、皮脂の分泌が盛んな箇所に現れやすい湿疹です。乳児からおとなまで起きる病気ですが、思春期以降から中高年の男性に多いです。

紅斑やかゆみ、フケ、油っぽい皮むけなどの症状が現れます。原因は、ホルモンバランスの乱れや皮脂の過剰分泌などです。

乳児湿疹

乳児湿疹とは、生後1〜2週間ごろに現れる湿疹です。ぽつぽつとした紅斑が主な症状です。皮膚全体の紅斑や湿疹の部分がこすれてかゆみが現れることもあります。

原因の特定は困難ですが、生後3か月以降に現れる湿疹は、乾燥が主な原因と言われています。そのため、手足などの外気にさらされる部位に生じやすい傾向です。

乳児に起こる湿疹には、乳児脂漏性皮膚炎というものもあります。こちらは、生理的に皮脂が過剰に分泌されやすい生後2〜4週間頃に現れる傾向です。皮脂が減少していく生後3か月を過ぎると自然軽快することが多いです。

汗疹

汗疹とは、汗の出口が詰まってしまい皮膚の中に汗がたまり起きる軽度の炎症のことです。かきすぎた汗と垢やほこりが混ざることで、汗の出口を塞いでしまうことが原因です。

汗疹は以下の2つの種類があります。

赤い汗疹

  • 特徴:チクチクとした痛がゆさがあり、半米粒大ほどの紅色のブツブツができる。
  • 現れやすい人:一般的な汗疹で乳幼児によく見られる。おとなでも高温多湿の環境で働く人や、汗かきな人に現れる。

白い汗疹

  • 特徴:かゆみはなく、白くやや透明感のあるブツブツができる。
  • 発生タイミング:著しい発汗のあとに現れることが多い。
  • 経過:涼しい環境で過ごせば、1日から数日で自然に治癒する。

汗の蒸発がしにくい肘の内側や膝の裏側、脇の下などによくできます。額や後頭部、首筋、胸、背中全体に現れることもあります。

汗疱

汗疱とは、手のひらや手足の指、足の裏に突然小さな水疱が左右対称に現れる病気のことです。異汗性湿疹(いかんせいしっしん)とも呼ばれています。水疱はやがて痛みやかゆみを伴ってきます。数週間で落屑となり治癒するのが一般的です。

多くは原因不明ですが、汗をかきやすい春や夏に現れやすい傾向があります。金属アレルギーが原因で引き起こされることもあります。

接触皮膚炎

接触皮膚炎とは、原因となる物質が皮膚に触れることで発症する湿疹です。一般的にはかぶれと呼ばれています。

原因の具体例としては、以下のようなものがあります。

  • 湿布薬
  • 化粧品
  • 日焼け止め
  • 毛染め
  • 洗剤
  • アクセサリー
  • 手袋
  • スギの花粉

どの原因で湿疹が現れるかは人それぞれです。また、上記の原因は一例であり非常に多岐にわたります。症状は、原因物質の接触部位に一致した紅斑や丘疹、水疱、かゆみなどです。口から原因物質を取り込むと、全身に湿疹の症状が現れる場合もあります。

手湿疹

手湿疹は手に発症する接触皮膚炎のことです。カサカサした手荒れがさらに進行したものと考えられています。手荒れが進行して、ひび割れや紅斑、水疱、かゆみ、痛みなどが現れている状態が手湿疹です。

職業や生活習慣の都合上、以下に該当する方は手が荒れやすく、手湿疹を発症するリスクがあります。

  • 水場の仕事が多い
  • 熱いお湯によく触れる
  • 消毒液をよく使う
  • 洗剤やパーマ液など薬品によく触れる
  • 段ボールやガムテープによく触れる

近年では感染予防のためにアルコール消毒が頻繁に行われるため、おとなだけでなく子どもにも見られています。

湿疹の治療方法は原因の除去と軟膏の塗布

湿疹の主な治療方法は、原因の除去と軟膏による薬物療法です。例えば、接触皮膚炎の場合は、原因となる物質に触れないようにしなければなりません。職業が関係する場合は、仕事の変更も考慮する必要があります。

湿疹の薬物療法に関しては、症状に応じて以下のようなものを利用します。

軟膏の種類効果
ステロイド外用薬炎症を抑える軟膏
抗ヒスタミン薬かゆみを抑える内服薬

ステロイド外用薬は、湿疹の状態に合わせて薬の強さなどを選択します。ただし、長期間にわたって漫然と使い続けると副作用が生じることもあるため、適切な使用が重要です。また、湿疹の種類に応じて、ステロイド外用薬以外の治療方法が検討されることもあります。

湿疹予防のためのケア方法

湿疹予防のための主なケア方法は以下の通りです。

発症予防法・湿疹の原因物質に触れない
・乾燥肌を掻きむしらない
・入浴などにより体を清潔に保つ
乾燥予防法・お風呂で体を強く洗いすぎない
・手洗いしすぎない
・乾燥肌の方は保湿剤をこまめに塗る
・入浴後は保湿剤を塗る

湿疹を予防するには、原因と考えられる物質を避けることが大切です。乾燥肌の方はとくに皮膚のバリア機能が低下している場合があります。

かゆみがあってもできるだけ掻かないようにして、保湿や清潔の維持に努めましょう。かゆみが強い場合は、医療機関の受診を推奨します。

乳児に湿疹が現れた際の対応方法

乳児も保湿と清潔の維持が重要です。清潔の維持は入浴が効果的です。

入浴時のポイントは以下の通りです。

  • 手足や顔など湿疹ができやすい場所を乳児用の低刺激性の石けんで洗う
  • 洗い残しがあると皮膚への刺激になるため十分に洗い流す
  • 入浴後は保湿剤を塗り皮膚を保湿する

手足に湿疹ができている場合は、掻いてしまわないように長袖長ズボンを履かせて覆う工夫も大切です。

症状が軽いうちは、保湿と清潔の維持によるスキンケアで治癒することがほとんどです。スキンケアをしても、長引くまた繰り返す場合は医療機関を受診してください。

湿疹やじんましん、発疹の違いと見分け方について

発疹は炎症の有無や原因の種類を問わず、皮膚に現れる、目に見える変化の症状の総称です。発疹の中でも、湿疹は皮膚の表面に炎症が起きる病気であり、じんましんは皮膚の一部が突然強いかゆみを持ってふくらむ病気です。

以下の特徴を把握すれば、湿疹とじんましんを見分ける際に役立ちます。

見た目

  • 湿疹:紅斑、丘疹、水疱、膿疱、痂皮などさまざまである。症状の現れ方や経過は人それぞれである。
  • じんましん:淡い紅色のすこし盛り上がった発疹が現れる。大きさや形はバラバラである。

かゆみ

  • 湿疹:かゆみが現れることもある。
  • じんましん:強いかゆみがある。

消えるまでの時間

  • 湿疹:一般的に症状は持続する。
  • じんましん:数分から数時間で消える。現れたり消えたりを繰り返すことがある。

原因

  • 湿疹:外的要因や内的要因が複雑に絡んで起きる。
  • じんましん:食べ物や病気など体の内側の問題で起きることがある。多くは原因不明である。

湿疹に関するよくある質問

湿疹に関して以下のような疑問はありませんか?

  • Q.ストレスは湿疹の原因になる?
  • Q.全身に広がる湿疹の原因は?

それぞれについて詳しく解説します。

ストレスは湿疹の原因になる?

ストレスは湿疹を引き起こす原因の1つになるおそれがあります。過度なストレスは免疫能力に悪影響を与えて、炎症を悪化させると考えられているためです。また、ストレスは体を掻く行動につながることがあるため、湿疹の症状を悪化させるおそれがあります。

全身に広がる湿疹の原因は?

全身に広がる湿疹の種類はいくつかあります。とくに注意すべきは、なんらかのアレルギー反応が原因で起きるアナフィラキシー症状です。

アナフィラキシー症状には以下のようなものがあります。

・発疹が急速に全身に広がる
・強いかゆみがある
・吐き気や嘔吐がある
・顔色や全身の血色が悪い
・意識がもうろうとしている

これらの症状が現れた際は、速やかに救急車を要請してください。

湿疹(皮膚炎)に関するページ