麻疹(はしか)とは
麻しんウイルスの感染によって起こる急性熱性発疹性の感染症です。
江戸時代までの日本では麻しんは「命定め」と呼ばれていたほど重症な感染症でした。
現在では、ビタミンA不足により重症化を招きやすいことが知られており、発展途上国では死亡率が10~30%に達する場合があります。
人のみに感染するウイルスで、感染発症した人から人へと感染していきます。
極めて強い感染力を持ち、麻しんに対して免疫がない人が感染すると90%以上が発病し、不顕性感染は殆どないことも特徴の1つです。
衛生状態が改善された現代でも1000人に1〜3人程度の方が亡くなります。
ですが、ワクチンによる予防により死亡者数は減少していますが、いまだ毎年報告される危険な病気です。
現状は死亡の大半が0〜4歳で、特に0〜1歳児の占める割合が多くなっています。
よくある症状
麻疹ウイルスの感染後、約10日間の潜伏後に発熱や咳、鼻水といった風邪のような症状が現れます。
肺炎、中耳炎を合併しやすく、1000人に1人の割合で脳炎が発症するとも言われています。
死亡する割合も先進国であってもその割合で危険な病気です。
38℃前後の発熱が続いたあと、倦怠感が出てきます。
その後、咳、鼻みず、くしゃみなどが始まり、結膜充血、目やに、光をまぶしく感じるなど結膜炎症状が現れてきます。
主に以下のような期間に分けることができます。
カタル期
感染後11日前後で38℃前後の発熱が続いた後、倦怠感が現れ、咳、鼻みず、くしゃみ、結膜充血などが3〜4日続きます。
次の発疹がでる前に熱は下がりますが、口腔粘膜に小さな白色の小さな斑点(コプリック斑)が見られるようになります。
目の症状としては、結膜充血のほか眼脂が多く認められます。
発疹期
この発疹期は3〜4日間ほど続ききます。
熱が下がり始めたかと思うと翌日には39〜40℃の高熱が再び出現します。
耳のうしろ、首、ひたいなどから発疹が出始め、翌日には顔や身体の幹部上腕まで広がり、最終的には四肢末端まで全身にかけて広がっていきます。
乳幼児は、経口摂取が悪くなるため脱水になりやすくいちばん辛い時期となります。
回復期
ここからは熱が下がり始めだんだん回復してきます。
ただ、咳は残り、全身に広がった発疹は黒ずんだ色素沈着となり、しばらく残ります。
ただ、免疫力は低下してしまうので、しばらくは他の感染症にかかってしまうと重症になりやすいため、安静にすることが大切です。
主な感染経路・予防対策
飛沫など、空気感染によって発症します。
感染力は非常に強いため、感染はしても発症しないことはほとんどなく、免疫のない方が患者さんと同じ空間にいる場合ほぼ100%感染し発病します。
なので、予防にはワクチンが有効となります。
麻疹患者に接触したのち72時間以内であればワクチンの緊急接種が有効となるので、感染者との接触の疑いがある場合はすぐに受診されることをおすすめします。
ですが、一部の方は接種しても発症する方もいます。
その場合は典型的な症状が出ないため母親からの免疫が残っている乳児では修飾麻疹の経過をたどる必要もあります。
人によって異なるため、詳しくは受診していただき、医師とご相談ください。