いびき(睡眠時無呼吸症候群)/ CPAP外来
いびきとは
「いびき」は、睡眠中に狭くなった喉で呼吸することで起こります。
2022年のフランスベッド・ホールディングス株式会社の調査によると、自分のいびきに悩んだ経験がある人は女性では40.8 %、男性では 50.4 %でした。
参考:https://www.francebed.co.jp/release_pdf/ibikityousa_francebed2020304.pdf
慢性的ないびきの中でも症状が重いものが「睡眠時無呼吸症候群」です。
睡眠時無呼吸症候群とは
睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome、SAS)は、睡眠中に呼吸が一時的に停止する病気です。
問題は、睡眠中の酸素不足や昼間の眠気などのストレスが、高血圧や脳卒中、心筋梗塞などの心臓の病気のリスクを高め、糖尿病や高脂血症と一緒に現れる可能性があることです。
最悪の場合これらの合併症により、突然死することもあります。
2000年の睡眠呼吸障害研究会の調査によると、無呼吸低呼吸指数が20以上の患者は、20未満の患者と比べて寿命が短いことが明らかになっています。
さらに、睡眠の質が低下することにより昼間の眠気が強くなり、集中力や記憶力の低下などさまざまな事故につながるリスクが増加します。
そのため正確な診断と、適切な治療を行うことが重要です。
睡眠時無呼吸症候群にみられる主な自覚症状
- 大きないびき(自分で気がつく、家族から言われるなど)
- 起床時の頭痛や体が重く感じる
- 高血圧
- きちんと睡眠時間を取っているのに、起床時の熟睡感がない。
- 日中の強烈な眠気
- 集中力や記憶力の低下
睡眠時無呼吸症候群の原因
睡眠時無呼吸症候群は主に以下の二つに分類され、その原因はそれぞれ異なります。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)
原因
肥満:肥満の方は上気道やその周辺に脂肪がつき、喉や上気道が通常よりも狭くなるため、仰向けに寝ることで喉や上気道が塞がる可能性が高まります。
頭蓋顎顔面形態:上顎や下顎のサイズや位置の異常、鼻腔が狭いなどの頭蓋顎顔面形態の特徴が影響を及ぼすことがあります。
中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSAS)
原因
脳から呼吸をする指令が出ないことが関係していると考えられています。
心不全や脳卒中、心房細動などの病気が主な原因です。
このほか、上記の2つの特徴が現れる「混合性睡眠時無呼吸症候群」もあります。
睡眠時無呼吸症候群の検査
「もしかして、睡眠時無呼吸症候群かも?」と思った方は、まずはご来院ください。
一般的にまずは簡易検査をおすすめしています。
当院では、「ご自宅で」睡眠時無呼吸症候群の診断(検査)が可能です。
金銭的な負担が少なく(入院した場合の3分の1の価格)、お忙しい方にもご利用いただけます。
パルスオキシメーターという時計のような機器を手首につけて一晩自宅で寝るだけの検査で、睡眠中に10秒以上の無呼吸が何回生じるか、また血中酸素濃度の低下が生じているかを調べます。
結果は機器の返送から数日後に当院に提供され、医師から結果説明をいたします。
いびき外来で行われるCPAP治療
先程のパルスオキシメーター検査の数値により治療の適応と判断された場合は、CPAP療法をおこないます。
CPAP療法はマスクから空気で陽圧をかけ、気道の閉塞を防ぐことによって、無呼吸を抑制する治療で、保険適用です。
CPAPを適用することで、脳梗塞・心筋梗塞などの心血管リスクや死亡率を下げることができると報告されています(1)。
減量や食生活の改善も並行して行うようにしましょう。
ご自宅でマスクをつけて寝ていただきます。
また、機器は軽量化がすすんでいますので、出張などの外泊時も持ち運びいただけます。
導入の流れ
① CPAP導入の決定
上記の検査の結果、無呼吸低呼吸指数(AHI)が20以上であればCPAPの保険適応となります。AHI 20未満の場合は、歯科でマウスピースなどを考慮します。
② ご説明
継続することが何より大切な治療です。導入直後は不快に感じることもありますが、最初は短時間しか使用できなくても徐々に慣れてきます。1ヶ月ほど続けられればあとは効果を実感いただける方が多くいらっしゃいます。
鼻につけるタイプや口につけるタイプなど様々あり、当院と提携しているTEIJIN社から機器の調整などのサポートをお受けいただけます。
③ 定期外来受診・データ管理
月1回の外来通院が必要です。
定期外来では、治療の効果や装着状況などのモニターを行います。
CPAPの使用状況はデータ管理システムから医療機関側で把握できますので、受診時に医師から説明・指導をお受けいただけます。
CPAPの有害事象
マスクによる皮膚のかぶれ(マスクがあたる鼻・口まわり)、マスク周りの空気漏れによる不快感、口鼻の乾燥、鼻症状などがあげられます。
乾燥が気になる場合は、加湿器をつけたりすることで改善を見込めます。
まとめ
いびき外来では、睡眠時無呼吸の精密検査や必要に応じてCPAP療法をお受けいただけます。
中等症以上の睡眠時無呼吸が隠れている場合、心臓や脳の血管リスク・死亡リスクにつながります。CPAP療法はそのリスクを軽減できる保険適用の治療です。
診断には検査が必要であることから、多くの隠れ睡眠時無呼吸の方が全国にいらっしゃると言われています。
当院は土日祝日も診療しておりますので、お仕事で平日の受診が難しい方もお気軽にご相談ください。
睡眠時無呼吸関連TOPICS
参考文献
- Lancet. 2005 Mar;365(9464):1046-53. DOI:https://doi.org/10.1016/S0140-6736(05)71141-7