新型コロナウイルスに対するイソジン(ポピドンヨード)の効果

作成:大森町駅前内科小児科クリニック院長


2020年8月4日、「うがい薬が新型コロナウイルスの重症化防止になる」という研究結果を、大阪府と大阪市、大阪府立病院機構「大阪はびきの医療センター」が発表しました。

内容は、「『ポビドンヨード』を含むうがい薬でうがいをしたところ、唾液中のウイルスの陽性頻度が低下した」というものです。

詳しくは、研究対象は、ホテル療養する41名です。1日4回うがいする人、しない人にわけて、唾液を用いたPCR陽性率を比較したところ、うがいをした人たちの方が陽性頻度は低かったというものでした。

メディア報道の過熱、イソジン®買い占めを受けて、大阪府知事の吉村氏は「うがい薬でコロナの予防効果が認められるものではありません」と反論しています。

イソジン®とは

イソジン®は、感染症の原因となるウイルスや細菌、真菌に対して殺ウイルス・殺菌効果があるPVPI(ポビドンヨード)を有効成分としたうがい薬を代表とする、総合感染対策ブランドです。
ポピドンヨードは、手術のときの術者の手洗いや患者さんの消毒などにも使われます。
ご家庭では、うがい薬として浸透しています。

一方で、ポピドンヨードのうがい薬で、かぜやインフルエンザの予防効果は、立証されていません。

ポピドンヨード自体は、殺ウイルス効果がありますので、うがいをしたことで、口の中のウイルスが減って唾液を用いたPCRの陽性頻度がさがるのは、当たり前のことです。

ウイルスは(新型コロナウイルスも)、鼻やのど、肺の方にはいってしまうとすぐに細胞内にはいっていくため、うがい薬がどこまで意味があるのかまだわかっていません。
また、「PCR陰性=感染していない」というわけではないことを知っておく必要があります。

報道により、研究結果がオーバーに解釈されてしまった部分は大きいと考えられます。
今後、大規模な研究にすすむための一歩であると考えられ、「うがい薬でうがいをしなければ!」となるには、時期尚早です。
科学的根拠が待たれます。