嘔気・嘔吐

嘔気・嘔吐

嘔気・嘔吐について

嘔気とは「吐きそう」な不快感のことでです。
嘔気や嘔吐は嘔吐中枢を刺激する様々な病気によって起こります。
その中でもウイルスや細菌などの感染や食中毒、消化管の病気や脳の病気、薬の副作用によって症状が出ることがあります。
嘔吐だけでなく下痢をしたり、頭痛や腹痛を伴い倦怠感があるなどの症状が続く場合は緊急性が高い場合もあるため医療機関を受診しましょう。
食べ過ぎや飲み過ぎで症状が出た場合は、一時的なもので、安静により回復することがほとんどです。

嘔気・嘔吐の原因

日常生活における主な原因には以下のようなものがあります。

  • 暴飲暴食
  • 薬の副作用(鉄剤、抗がん剤など)
  • つわり(妊娠)
  • ストレス
  • 乗り物酔い
  • 食中毒・食あたり
  • ウイルス・細菌感染

など

有名なウイルス・細菌は以下のようなものがあります。

ウイルス・ロタウイルス
・ノロウイルス
・アデノウイルス ほか
細菌・病原性大腸菌
・サルモネラ
・カンピロバクター など

感染経路について

便や吐物の中にいるウイルスが手指を介して口内に侵入する感染経路「糞口感染」が最も多くなります。
その他には食品を媒介し感染したり、汚染された水などからの感染もあります。

嘔気・嘔吐の原因となる主な病気

感染性胃腸炎

年齢、ウイルスにより期間に違いがありますが一般的には急な嘔吐で発症します。
その後、半日から1日は激しい嘔吐が続き、少し遅れて水様下痢がはじまります。
下痢は1日の内に数回以上見られ、腹痛を伴います。
熱や咳・鼻水などの風邪症状や腹痛が起こる場合もあります。
ロタウイルスによる胃腸炎では、便が白くなることが特徴です。
ロタウイルス乳幼児では入院が必要となる胃腸炎の代表例であるため、定期接種の対象となっています。
約1週間ほどで徐々にトイレに行く回数が減って、水様の便から元の形がある便に戻ります。
ノロウイルス感染症の多くは、感染後半日以内に嘔吐があり、下痢はなく次の日には元気になる場合もあります。ノロウイルス感染症は通常、約2~3日で良くなりますが乳幼児や高齢者は重症化リスクもあるため注意が必要です。

胃炎(急性・慢性)

胃は強い酸性の胃酸を分泌していますが、通常、粘液で胃を守っています。しかし、この防御システムがうまくいかなくなったときに胃に炎症が起こります。これが胃炎です。短期間でよくなるものは急性胃炎・慢性的に胃炎が続いている状況を慢性胃炎と呼びます。

逆流性食道炎

胃酸や胃の内容物が食道に逆流し、食道に炎症を起こします。食道には胃のような防御機能がないためダメージを受けやすいです。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍

嘔気・嘔吐の症状の一つですが、みぞおち当たりの痛みがあります。
食後に症状が出る場合は胃潰瘍、食前に症状が出る場合は十二指腸潰瘍が疑われます。

胃がん

初期の胃がんはほとんど症状がありませんが、進行してくると嘔気や胃痛・腹痛が現れます。
定期的な内視鏡検査が早期発見につながります。

腸閉塞(イレウス)

ひどい嘔気と嘔吐、排便がないことが特徴です。「最近便が出てないな」と思っていたら嘔気と嘔吐が出てきたなどありましたら、緊急の処置が必要な場合がありますので、早めの受診をお勧めします。

その他

その他の消化管の病気(虫垂炎・腹膜炎・膵炎・肝炎など)や消化管以外の病気(尿管結石やくも膜下出血など)が原因で嘔気・嘔吐が起こることもありますので、食事がとれない、飲水できない、症状がだんだんひどくなる、長引いているなどありましたら、早めの受診をお勧めします。

嘔気・嘔吐の予防方法

感染性胃腸炎を予防するには、食事の前、トイレに行った後は特にきちんと石鹸で手洗いをしましょう。
食中毒を防ぐには、生食を控え、できる限りで加熱調理をしましょう。
その他、暴飲暴食は控え、生活習慣を整えることも大切です。

嘔気・嘔吐の治療方法

吐き気が強い場合は食事を控えましょう。
脱水には注意が必要ですが、水を一気に飲んでしまうと嘔吐してしまいますので、様子を見ながら少量ずつこまめに水分を摂取するようにしましょう。その後嘔吐が見られなければ少しずつ量を増やしていきましょう。水分を増やしても嘔気・嘔吐が落ち着いていたら消化が良いものを少しずつ食べてはじめていきましょう。
乳児は母乳の場合、嘔吐や下痢の様子をみながらで問題ありませんが、ミルクの場合は濃度をまずは薄め、徐々に濃くしていくことを推奨します。
嘔吐や下痢がひどく、水分が取れない日が続く場合は重症脱水になることがあるため、かかりつけの病院を受診しましょう。
特に高熱が続く、血便がでる、手足の麻痺がある場合は早めの受診が必要です。