予防接種

子宮頸がんとヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン

子宮頸がんはワクチンで予防できる(リスクを下げることができる)がんの一つです。
情報を正しく理解して、対象の方はぜひ接種をご検討ください。

当院でヒトパピローマウイルス(HPV)|子宮頸がんワクチン接種を受けられます

現在はガーダシルのみ接種が可能ですが、2023年4月からはシルガード9の接種も可能です。
ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンを検討されている方はお気軽にご相談ください!

子宮頸がんとは

子宮頸部にできるがんのことで、子宮頸部上皮内腫瘍や上皮内腺がんという、がんになる前の状態を経てからがんになります。
子宮頸がんは、進行すると骨盤の中のリンパ節に転移したり、子宮頸部の周りの組織に広がったり、子宮から離れた肺などの臓器に転移したりすることがあります。
子宮頸がんは子宮がんのうち約7割程度を占め、早期に発見すれば比較的治療しやすく予後のよいがんですが、進行すると治療が難しいため、早期発見が重要です。
がんのできる部位によって発見が遅れることもあります。
以前は40~50歳代が発症のピークでしたが、最近は若い女性に増えており、30歳代後半がピークとなっているため、早期に発見するためには定期的な婦人科での検診が必要です。

原因

ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因で起こることがほとんどです。
ヒトパピローマウイルス(HPV)は性交渉で感染しますが、多くの場合、感染しても免疫によって排除されます。
しかし、排除されず感染が続くと、一部に子宮頸がんの前がん病変を経て、子宮頸がんに進行していくと考えられています。
また、喫煙もがん発生の危険性が高めます。

症状

子宮頸がんは進行するまで症状がほとんどありません。
しかし、進行すると、月経中でないときや性交時に出血したり、においを伴う茶色や膿のようなおりもの、水っぽいおりものや粘液がたくさん出るなどの症状がみられることもあります。
進行度が上がるにつれ、多量の出血、下腹部や腰の痛みなどの症状が出ることもあります。

早期発見

健診

20歳を超えたら2年に1回、子宮頸がん検診を受けることが大切です。
費用の多くを公費で負担しており、一部の自己負担で受けることができます。
お住いの自治体に確認してみてください。

がん検診の内容
  1. 問診
  2. 視診
  3. 内診
  4. 頸部の細胞診

『要精密検査』となった場合、必ず受診しましょう。

精密検査の内容
  1. コルポスコープ下の組織診
  2. 細胞診
  3. HPV検査(感染しているウイルスの型を調べる)

予防

ワクチン接種

子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)に効くワクチンを接種することで予防することができます。
下に記載する通りワクチンの種類は複数ありますが、いずれも既に感染したウイルスを排除したり、子宮頸がんの進行抑制作用はありません。ウイルスに感染する前に予防することが重要です。

つまり、HPVワクチンは初めての性交渉前に接種することが望ましいと考えられています。

子宮頸がんワクチンの対象者

9歳から接種が可能です。
ただし、公費の対象となるのは小学校6年生~高校1年生の女子で、令和4年4月にHPVワクチンの接種対象年齢の人へ接種のお知らせの個別送付が再開されています。

サーバリクス/ガーダシル小学校6年生~高校1年生の女子(キャッチアップ接種対象者:平成9年4月2日~平成17年4月1日の間に生まれた女子) このほか、平成18・19年度生まれの方は、通常の接種対象の年齢を超えても、令和7年3月末まで接種できます
シルガード
(2023年4月からの予定)
小学校6年生から高校1年生の年齢に相当する女子(キャッチアップ接種対象者:平成9年4月2日~平成20年4月1日の間に生まれた女子)

上記の対象者に該当しない方でも、任意接種としてHPVワクチンを接種することは可能です。
ただし、この場合、接種費用は全額自己負担となります。

子宮頸がんワクチンの種類

ヒトパピローマウイルス感染症予防ワクチンのうち、公費で接種できるのは、サーバリックス(2価ワクチン)とガーダシル(4価ワクチン)のみでしたが、2023年4月1日からシルガード9(9価ワクチン)が公費で接種可能になりました。

サーバリックス(2価ワクチン)

当院ではお取扱いしておりません

予防対象HPV-16型と18型
予防効果70%の子宮頸がんの予防対象です。
接種期間初回接種⇒1か月後(2回目)⇒1回目を接種してから6か月後(3回目)
公費対象年齢小学校6年生~高校1年生の女子 『キャッチアップ接種対象者』(接種期間は令和7年3月31日まで)
平成9年4月2日~平成17年4月1日の間に生まれた女子

ガーダシル(4価ワクチン)

予防対象 HPV-16型・18型と、良性の尖形コンジローマの原因となる6型・11型の4つの型
予防効果 70%の子宮頸がん・肛門がんの予防対象です。
接種期間初回接種⇒2か月後(2回目)⇒1回目を接種してから6か月後(3回目)
公費対象年齢小学校6年生~高校1年生の女子 『キャッチアップ接種対象者』(接種期間は令和7年3月31日まで)
平成9年4月2日~平成17年4月1日の間に生まれた女子

シルガード9(9価ワクチン)

予防対象HPV-16型・18型と、良性の尖形コンジローマの原因となる6型・11型の4つの型、さらに5つの型(31/33/45/52/58型)
予防効果今までの2価・4価ワクチンより高く、90%以上の予防効果をもつことが期待できます。
接種期間<年齢>      <合計回数>   <間隔>
9歳以上15歳未満   2回        初回
                     2回目:2~12か月の間
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15歳以上        3回        初回
                     2回目:2か月後
                     3回目:1回目から6ヶ月目
公費対象年齢小学校6年生から高校1年生の年齢に相当する女子 『キャッチアップ接種対象者』(接種期間は令和7年3月31日まで)
平成9年4月2日~平成20年4月1日の間に生まれた女子

予約方法

24時間いつでもLINE予約をご利用いただけます。
診療科『自費診療・ワクチン(中学生以上)・プラセンタ注射』の枠からご希望の日時でご予約ください。

子宮頸がんワクチンに期待される効果

がんそのものを予防する効果は現段階では証明されていないですが、ヒトパピローマウイルスの感染や子宮頸部の異形成を予防する効果が確認されています。また、接種が進んでいる一部の国では、子宮頸がんそのものを予防する効果があることも確認されています。

子宮頸がんワクチンの副反応

  • 接種した部位の痛みや腫れ(10%程度)
  • 発熱や蕁麻疹、めまい、頭痛など(1~10%程度)
  • 手足の痛み、腹痛、全身の脱力(1%未満)
  • 注射に対する恐怖・興奮などをきっかけとした失神、筋肉・関節痛(頻度不明)

子宮頸がんワクチン Q&A

子宮頸がんワクチンはどのような効果が期待できますか?

子宮頸がんワクチンは、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染を予防することができます。HPV感染が原因である子宮頸がんの発症を予防することができます。

子宮頸がんワクチンを接種するとどのような副反応があるでしょうか?

子宮頸がんワクチンの接種に伴って、腕の痛み、発熱、頭痛、めまい、倦怠感、筋肉痛、関節痛、その他の症状が報告されています。これらの症状は一時的であり、通常は数日以内に緩和されます。

子宮頸がんワクチンは何歳から接種可能ですか?

9歳から接種可能です。ただし、接種対象となる年齢は、ワクチンの種類や地域によって異なります。詳細は、医療機関や保健所にお問い合わせください。

すでにガーダシルを1、2回打っているのですが、残りをシルガードにすることはできるのでしょうか?

可能です。
過去に2、4価ワクチンを1回、または2回打ったけど、残りは9価で、という選択も公費接種では可能になりますので、ご相談下さい。
またキャッチアップ接種の対象者も9価ワクチンを接種できるようになります。
ただし2価、4価で接種が3回終了した方に、追加で9価を接種する意義は限定的で、世界的にも推奨されておりません。
同じ種類のワクチンで接種を完了することを原則としますが、2価ワクチンまたは4価ワクチンで接種を始めた方が、残りの回数を接種する時に9価ワクチンを使用することは、安全性と免疫原性が一定程度明らかになっていることや海外での取扱いを踏まえ、適切な情報提供に基づき、医師と接種を受ける方等がよく相談した上であれば、差し支えないとする予定です(厚生労働省事務連絡より)。

参考文献