ステロイド剤の基礎知識

ステロイド剤とは

ステロイド剤とは、副腎皮質ホルモンという成分を配合している薬です。さまざまな病気に使われる薬であり、湿疹・皮膚炎の治療にもなくてはならないものです。
副腎皮質ホルモンとは体内の副腎でコレステロールからつくられるホルモンです。
ステロイド骨格と呼ばれる共通の骨格を保つため、ステロイドホルモンとも呼ばれます。
この副腎皮質ホルモンは、血糖値や気分の抑揚を調整する働きに加えて、炎症を抑える働きがあります。
塗り薬と飲み薬があり、一般的に湿疹・皮膚炎に使われるものは、「塗り薬」の方です。塗り薬だけでは治療しきれない重症な場合は飲み薬が使われる場合があります。
「ステロイド剤」に関しては、誤った情報が流れている事例もあり、ステロイド=”””副作用が怖い””” というデメリットが頭をよぎる方もいらっしゃるかと思います。副作用がない薬はありませんが、ステロイドでしか治せない湿疹・皮膚炎があります。正しく理解して使用することが必要です。

ステロイド外用(塗り薬)には、「効果の強さ」によって「ランク」があります。

ウィーク・マイルド < ストロング < ベリーストロング < ストロンゲスト

「ベリーストロング」と「ストロンゲスト」に分類されるものを使用するには、医師の処方箋が必要となり、処方薬(医療用医薬品)としてのみ取り扱われています。

「ウィーク」「マイルド」「ストロング」の3段階は市販の医薬品(OTC医薬品)として、薬局で薬剤師や登録販売者から購入ができます。

部位や年齢による使い分け

ステロイド外用剤(塗り薬)が皮膚から吸収される割合は、体の部位によって大きく変わります。
ステロイドが吸収されやす=副作用が出やすい部分(顔面・首・陰部など)に使用する場合や、乳幼児・高齢者には、1ランク弱いステロイドを使うことが勧められます。
乳幼児の湿疹・皮膚炎にステロイド外用(塗り薬)を使用する場合は、一般的に効果が「マイルド」なタイプを選択します。
治療を安全に行う目安期間としては、顔・首・陰部は約2週間、その他の部位は約4週間ですが、「セルフメディケーション」では5~6日使用しても症状が改善しない場合には医師に相談しましょう。
また、湿疹・皮膚炎の重症度に合ったランクのステロイド剤を使うことが大切です。皮膚の状態が軽症であればステロイド無しで保湿剤のみで治療できる場合もあります。
ステロイド外用は、炎症が起こってしまった部位に、短期間で集中的にしっかり塗ることで威力を発揮します。掻きむしることで悪化したり慢性化してしまうことを防いでくれます。
使用期間、部位ごとの注意事項を守り、安全に使用するために、以下の点を気をつけましょう。

1週間続けてよくならなければ受診を

お近くのドラックストアなどで購入し、ご自身でケア(セルフメディケーション)している場合に、5〜6日使用しても改善しない、あるいは悪化した場合は使用を中止してください。
他の原因、もしくは疾患の程度がセルフメディケーションの範囲を超えていることが考えられますので、医師へご相談ください。

顔面・陰部には充分注意して使用する

顔面化粧用や髭剃りあとなどに使うと長期連用につながり、副作用がおこる恐れがあります
陰部ヘルペスや皮膚カンジダ症など感染性疾患と区別が難しい場合があります

使用する患部の面積はご自身の手のひら2〜3枚まで

患部の大きさが上記を超える場合はご自身で対応していただく範囲を超えております。
まずは医師へご相談ください。

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