ステロイド剤とアトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎の原因

アトピー性皮膚炎とは、先進国の乳幼児でよくみられる炎症性の皮ふ疾患です。
生まれながらの体質や環境が影響すると考えられています。
カサカサした乾燥肌のような軽症から、全身を掻きこわしてしまいジクジクした重症まで、症状は様々です。
主な症状は以下の通りです。

  • 皮ふにかゆみがある
  • 左右対称に現れる、皮ふの湿疹がみられる
  • 関節まわりに湿疹が目立つ
  • 上記にあげたような症状が、慢性的に、または繰り返し現れる

幼児〜成人であれば「6ヶ月以上」、乳児であれば「2ヶ月以上」続いた場合、アトピー性皮膚炎の可能性があります。
アトピーを悪化させてしまう一番の原因は、寝ている間に無意識に患部をかいてしまい、炎症悪化のサイクルに陥ってしまうことです。
そうならないためにかゆみ・炎症をコントロールすることが大切です。
そこで使用するのが「ステロイド軟膏」です。

かゆみを抑えてくれる「ステロイド軟膏」

ステロイド軟膏について、副作用が怖いという方がいらっしゃいますが、使用上の注意を守って使用すれば問題はありません。
これをうまく活用することによってかゆみがおさえられます。
皮ふに塗る回数の目安は1日2~3回。
1回あたりの使用量は、口径5mmのチューブから、大人の人差し指の先から第一関節まで押し出した量(約0.5g)を大人の手のひら2枚分くらいの広さに伸ばして塗ることを適量の目安として使用します。
使用することでかゆみが改善されてきた部分は保湿剤でスキンケアしてあげます。
また、ステロイド剤は種類によって強弱がランクで分けられているため、使用するものによって効きかたには差があります。

日本皮膚科学会の『アトピー性皮膚炎診療ガイドライン』(2016)では、医療用ステロイド剤の強さを、以下の5段階に分けています。

  1. 最も強い(strongest)
  2. 非常に強い(very strong)
  3. 強い(strong)
  4. おだやか(mild)
  5. 弱い(weak)

症状にあった、適切なランクを使用することが重要です。
薬局で購入もできますが、乳幼児や子ども・高齢者に使用する際は、医療機関を受診して医師に相談しましょう。使用すると通常数日から1週間程で効果が現れますので、もし1週間経過しても薬の効果が見られない場合は、再度医師の診察を受けるようにしてください。

アトピーを治療するためには、まずはかゆみを断ち切り、「炎症悪化サイクル」を起こさないようにすることです。
そのためにステロイド軟膏を用いてかゆみをコントロールすることが重要になります。
ステロイドでコントロールがついた後は、他の塗り薬に置き換えていきます。
まずはステロイド軟膏について正しく理解し、医師と相談しながら、アトピー性皮膚炎と上手に向き合っていきましょう。

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